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北原 洋明=テック・アンド・ビズ
ジャパンディスプレイ(以下JDI)は、香港 Asia World-Expoで2018年10月18日から21日まで開催されている『Startup Launchpad』(2018年展示会の公式ホームページ: https://launchpadhk.com/FutureOfRetail/)に出展している。今回JDIは特設ブースを設けて、8月に開催した戦略発表会「JDI Future Trip」(参考記事:https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ne/18/00001/00026/)で披露したHUD 搭載スマートヘルメットなどの展示を行い、『Startup Launchpad』を通じて、JDI が進める新たなコトづくりの世界を披露している。
『Startup Launchpad』は、300 組以上のスタートアップや、140 カ国以上から 3.5 万人のバイヤーが集まるアジア最大のハードウェアトレードショーである(図1)。香港および隣接する深圳は、特にハード系のスタートアップ企業が多く、会場のブースを見ても20代から30代の多くの若者の出展で溢れており、熱気を感じる展示会である。初日18日は、JDIの常務執行役員CMO伊藤嘉明氏も登壇し、オープニングテープカットが行われた(図2)。
図1 『Startup Launchpad』展の入り口
Mobile Electronics展もあり、ARVRを含めた様々なMobile器機も見られる
図2 『Startup Launchpad』展の初日のテープカット風景
JDIブースは、多くのスタートアップ企業の小ブースが並ぶ中に特設ブースとして設けられ、多くの参観客の目を引いている(図3)。このJDIブースの中では以下の様々な展示デモが行われた。これまでの様な単なるディスプレイパネルの展示では無く、ディスプレイを使って様々な感覚を呼び起こす提案を作り出していく内容である。
- HUD 搭載スマートヘルメット「Sparta」(図4参照)
- 透明液晶を搭載したレーサー用ヘルメット(図4参照)
- 香りと光でくつろぎを与えるScent Device(図5参照)
- Dynamic Pricing Solution (DPS)(図6参照)
- Safety tag(図7参照)
- Built-in buttery Signage(図8参照)
- HMD(高速応答、超高精細LCD)(図9参照)
図3 JDIブース全体風景
後方に見える様に、周囲には多くのスタートアップ企業の小ブースが並んでおり、JDIの特設ブースは36㎡の広さではあるものの会場で存在感を示している。
図4 HUD 搭載スマートヘルメット「Sparta」(左の二つ)と透明液晶を搭載したレーサー用ヘルメット(右)。左は説明とインタビューで今回の展示にかける思いを語ってくれた常務執行役員CMO伊藤嘉明氏
図5 Dynamic Pricing Solution (DPS)
E Ink Holdings との業務提携のもとで開発した3 色表示が可能な横長電子棚札ディスプレイ。AI が商品の販売実績を分析し価格弾力性を算出して最適価格を表示するソリューション。AIもJDIで開発した。
図6 香りと光でくつろぎを与えるScent Device(香りデバイス)
中央の黒い箱形デバイス(プロットタイプ)から香りを発すると共に、ユーザーの属性に応じて上面のディスプレイのコンテンツや香りをAI制御する。
図7 Safety tag
小学生等の安全を見守る名札。MIPと太陽電池を組み合わせて充電なしで使える。
図8 Built-in buttery Signage
32“反射型液晶ディスプレイにバッテリーを搭載し電源コード無しで表示でき、停電や災害等にも対応できる。
図9 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
高速応答、超高精細LCDでより現実に近い映像が見える
スタートアップの熱気と共に海外に打って出るJDI
『Startup Launchpad』展では、IoT, ARVR, Robotics, Health Tech, Sports Tch, Education Tech, Market Tech, Smart Home等々の様々なジャンルの出展があり、会場には多くのStart up企業とバイヤーの熱の入ったやりとりがあちこちで見受けられる。
JDIが今回このような展示会に出展した目的は、これまでディスプレイのハードウエア事業に特化したビジネスから、ディスプレイに表示する情報を使って新たな価値を創りだす事業へバリューチェーンを拡げていくことにある。その目指すところはスタートアップの若い経営者達が目指す夢と同じ方向を向いている。
会場でインタビューに応じてくれた伊藤氏は、先に新生JDIに対する思いを語っている。(参考記事:https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00134/082700083/
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00134/082700085/)今回の『Startup Launchpad』展の会場でのインタビューで真っ先に語ってくれた言葉は、新生JDIを具現化するには国内外は問わないが、やはりスピードの速い海外が向いているという事で有り、今回の様なスタートアップが集まる場で、単なる展示でバイヤーに来て貰うのではなく、逆に新しいビジネスを作り出すために自ら会場を廻る気概である。10月20日のセミナーのオープニングでは、伊藤氏も登壇しスピーチを行う予定である。
図10 インタビューの最後に展示ブースの裏側に掲載したボードへの思いを語ってくれた伊藤氏
英語の標語は、JDIが新たなビジョンとして打ち出した「思い描いていることを、見・聞き・触れ・香り・味わえる現実に変え、世界のあたり前を、はるかに超えた体験をつくりだしていく。」を表現したものである。